海と地域を豊にするサンゴ養殖プログラム基金
サンゴ礁は地球上の海の面積の1%しかないのにも関わらず、海洋生物種の25%が生息する、貴重で尊い存在です。そのことに気づき、守ろうとする人が増えることで、サンゴ礁のある地元の海が地域の誇りになることを目指しています。
また、サンゴ礁の海を保全するためには、サンゴを増やす直接的な活動だけでなく、私たち一人ひとりの社会活動が海洋環境に密接に関連していることを多くの方々に知っていただき、海洋環境だけでなく、自然環境の保全に向けた必要な行動を促すための啓発活動にも取り組みます。
私たちは地域が主体となったサンゴ礁保全活動の体制構築と継続的な活動の展開を目指し、令和4年6⽉30⽇に立ち上げました。
代表の山城は恩納村漁業協同組合の前組合長で、現在もサンゴ養殖部会の副部長を務めています。
以下の取り組みを中心に活動しています。
1.活動支援先でのサンゴ植え付け
2.地域主体のサンゴ礁保全再生活動に向けた支援
3.学習機会の提供
(主な活動支援先)
・沖縄県 恩納村
・沖縄県 久米島(久米島漁業協同組合サンゴ養殖研究部会)
・鹿児島県奄美大島(瀬戸内町、龍郷町) 他
サンゴは水温が18度から30度くらいまでの暖かい海がもっとも生息に適しており、主に熱帯や亜熱帯の海に分布し、インドネシアやフィリピン、ニューギニアに囲まれた水域に多くのサンゴが分布しています。
日本はサンゴやサンゴ礁の分布が可能な海の北限にあたり、琉球列島から九州、四国、本州に沿って、北へ行くほどサンゴの種類数は減少していきます。
サンゴ礁は、さまざまな生き物の住み家や産卵場所を提供するなど、海洋生態系の中で重要な役割を担っています。またサンゴ礁は海洋生物だけでなく、わたしたち人間の生活にも恩恵をもたらしています。
サンゴ礁は、世界の海洋魚種の25%が生息しており、多様な水産物を提供する漁場として世界の5億〜10億人の食糧源となっています。さらに天然の防波堤の役割を担っていたり、建築資材として活用される等、人間もサンゴやサンゴ礁に棲む生き物から、様々な恵みを受けています。
海洋生物の命をはぐくみ、わたしたちの暮らしを支えているサンゴ礁は、世界的にその半数が死滅または危機的状況にあると報告されています。このようなサンゴ礁の危機は、沿岸開発による土砂流出や生物資源の乱獲、過剰な観光利用など人間活動がその要因の一つとなっています。
拠点である恩納村では、地元の漁師・ダイビングサービス事業者等と連携し、サンゴの植え付け活動に取り組んでいます。また、役場や教育委員会とも連携し、学校教育現場に専門家派遣を行うなど、サンゴや海に対する学習支援を行っています。
1997年に起こった世界規模でのサンゴ礁の白化現象は、当団体の活動拠点がある沖縄県国頭郡恩納村沿岸域において、約9割のサンゴが死滅しました。このような状況下において、恩納村の主要産業である漁業や観光業を大きな影響を受けました。沿岸域における大規模なサンゴの白化現象からサンゴを再生しなければ、地域の産業は衰退してしまう。そのような漁師たちの危機感から始まった活動で、1999年から恩納村を中⼼にサンゴの植え付けに取り組んできました。
これまでの活動によって、恩納村海域でのサンゴ礁の被度は白化現象が起きる前の8割程度回復したと言われる等、一定の成果を得ています。
本基金を通して皆さまから託していただいた寄付金を、以下の活動に活用しました。
2022年度
久米島には、沖縄県自然保護課のモデル事業(サンゴ礁保全再生地域モデル事業)で整地されたサンゴの養殖場があります。その養殖場に新たなサンゴ種苗を供給するための中間育成棚を製作するための資材提供及び技術支援を行いました。
今後は、沖縄県内にとどまらず、サンゴ保全が必要な地域でサンゴの養殖等に必要な各種支援を行います。
また、サンゴを取り巻く海洋環境の悪化は、陸域での様々な活動が影響を及ぼしていることから、地域住民の海に対する関心の向上をはじめ、環境保全に必要な行動を促すための啓発事業の展開等により、地域主体となったサンゴ保全活動が継続的に行える体制づくりを支援します。
一般社団法人サンゴ保全協会代表理事の山城正已です。
当協会の活動に共感・賛同し、ご寄付を頂いてきました支援者の皆様に心より感謝いたします。頂いたご寄付は、サンゴ植え付けの支援及びサンゴ保全に向けた普及啓発のために、大切に活用させて頂いています。
今後も私たちができる活動を一つ一つ積み重ね、サンゴ保全の輪が海を越え、県外、海外へと広がっていくことを目標に取り組んでいきます。
次世代からお預かりしている地球をよりよい環境にしてお返しするために私たちと一緒に一歩を踏み出しませんか?