新崎盛暉平和活動奨励基金
戦後沖縄では、民衆が自発的に地道に活動を続けることで権利を実現させてきました。市民が自らの発意と創意、知恵と熱意で取り組む市民律の平和活動は、世界平和の礎です。
新崎盛暉平和活動奨励基金は、「民衆の力」を信じ続け沖縄現代史研究者で平和運動の伴走者であった故新崎盛暉先生の名を冠し、市民による平和と人権活動を支え続けています。
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高嶺朝一、長元朝浩、三宅俊司、松田寛、浦崎成子、城間勝、 親川裕子、我部聖で構成する運営委員会を組織しています。
米軍基地建設による自然環境への影響に関する研究や、情報公開請求による調査活動、米軍航空機騒音の測定と解析、聞き取り調査による地域史研究などに助成をおこなってきました。
沖縄は日米両国の激しい地上戦の戦場になりました。
そして、その後27年の長きにわたってアメリカの事実上の軍事占領下に置かれ、軍事要塞とされていました。
これに対して、沖縄の民衆は、暴力的軍事支配に非暴力的抵抗闘争を積み重ね、無権利状態の中から少しずつ民衆の権利を拡大し、1972年の沖縄返還を実現しました。
しかしその後も米軍基地の沖縄への集中・自衛隊基地の強化等、沖縄を軍事的拠点として強化しようとする日米両政府の沖縄に対する差別的軍事政策は強化されこそすれ、改善される兆しは見せていません。
本基金は、沖縄を代表する現代史研究者 故新崎盛暉先生が出版された単著の収入を主な原資に設立されました。
2017年度第1期〜2023年度第7期まで、毎年個人、団体に助成をおこなっています。
新崎盛暉平和活動奨励基金 助成者一覧(2024年1月現在)※PDFにリンクします
2023年度 第7期 助成金採択者
・神里菜月さん「平和学習イベント みらいフェス」
・「沖縄『平和の礎』名前を読み上げる集い』同実行委員会
・「沖縄県小中学生のための『琉球・沖縄の歴史教育』普及推進・啓発活動』 沖縄県小中学校歴史教育研究会
・「未来につなぐ『てぃだ結の浜』フォトコンテスト」美ら海を未来に残したいうちなーんちゅの会
・褒賞 宮村みつおさん 「万国津梁の鐘」碑文を通して改めてアジア・世界の平和を考える
いずれの応募者も、2022年に始まったウクライナ戦争や台湾有事への防衛力強化策とされる与那国、宮古、石垣での自衛隊配備など、平和構築とは相反する世界や政府の動きに対して、沖縄を再び戦場にしないための取り組みを主眼にした点が高く評価されました。
2022年度 第6期実績
・吉田勝廣さん 「金武町環境問題を考える会」
・西由良さん「若者世代が個人的な体験から沖縄問題を考えるためのトーク企画」-「あなたの沖縄」コラムプロジェクト
西さんは報告会で、「私たちの世代は、沖縄愛に溢れる一方で、沖縄をめぐる様々な問題について積極的に語ることは少ない。そのため、若者同士で集まり、生活の中での違和感を紐解くことで、差別的構造を考えるための場を作った。私たちの世代の声を伝えたいという思いが、採択に繋がったことに勇気づけられた。」と語りました。
これまでの採択者の活動の一部をご紹介します
渡嘉敷 健さん(第2期 2018年度 採択者)
「沖縄県内における米軍航空機騒音の測定及び解析」
沖縄タイムス 緑ヶ丘保育園に騒音測定器設置/渡嘉敷さん新崎基金活用 2018年11月15日
琉球新報 緑ヶ丘保育園で騒音測定 渡嘉敷准教授 米軍機の経路調査 2018年11月15日
北上田 毅さん(第3期 2019年度 顕彰)
「辺野古新基地にまつわる情報公開請求」
土木技師。沖縄防衛局や県警などへの情報公開請求を続け、辺野古ゲート前の警備費や辺野古新基地建設予定地における軟弱地盤などの問題点を指摘。警備費については会計検査院も過大積算を指摘し、軟弱地盤問題は沖縄県の埋立承認撤回の最大理由となりました。
西 由良さん(第6期 2022年度 採択者)
西さんが主宰する90年代生まれが個人的な体験から綴るコラムプロジェクト「あなたの沖縄」は、ZINEになって販売されています。
2018年3月31日、沖縄を代表する歴史学者、新崎盛暉先生が逝去されました。
私どもは、先生とともに新崎盛暉平和活動奨励基金を運営してまいりました。
先生とは生前、基金の会議中に、「先生の死後もこの基金は続けていきたいですね」と意思確認はしておりました。この5月に運営委員で集まり、改めて当基金の継続を決定、遺族の方々にも了解いただきました。
先生は、「民衆の力」を信じ、それを支援し続けることに尽力された方でした。この基金の最初の原資となった数々の著書も単なる研究発表ではなく、我々が運動に悩み立ち止まったときに道標となることを企図されたものばかりだと改めて頭が下がる思いです。
私ども新崎盛暉平和活動奨励基金運営委員会は、先生の意思を受け継ぎ、当基金存続のための資金造成をしていくことを決め、皆様にお願いしていくことにしました。
次世代の平和活動に助成することで、できるだけ長く先生の思いをつないでいく原資になればと切に願います。
新崎基金発足後、8個人6団体へ助成してまいりました。
市民による地道な活動でありながら、資金確保が難しい平和や人権活動に役立ててほしいとの新崎先生の基金設立の思いを繋ぎ、沖縄から平和な社会を創り続けていくために、引き続き基金活動を続けていきます。
皆さんのご支援をお願いいたします。