【CSRヒトワク】第52回株式会社アイセック・ジャパン「e-ミミ」
自転車で通勤していると、車両に乗っていては聞こえない、風に揺られる草木の音や虫や動物の鳴き声が聞こえてきます。「ザワワ」「リーンリーン」冬の気配が近づいて来ましたね。あなたが好きな「音」はなんですか?
さて、第52回目の本日のゲストは株式会社アイセック・ジャパンから、一瀬宗也様にお越しいただきました。
本日聞き逃してしまった方も下のポッドキャストでお聞きになれます。
■再放お送:放送当日22:00~、毎週土曜日11:00~(次回まで今回の放送を流します)
今回のCSRの取り組みは「モバイル型情報保障サービス」通称e-ミミ。「聞こえ」に問題のある方に、音声をリアルタイムで文字配信するサービスです。
まず、うるま市のセンターに電話して、センターの文字通訳者が会話内容を文字入力・配信します。受信者は、インターネットを通じて文字として見ることで、目の前の音声を2~3秒後には理解することができるというものです。
聴覚障がい者「音」や「声」が聞こえない、聞こえにくい方にとって画期的なシステムです。これまでにも全くこの様なサービスがなかったわけではありませんが、今までの考え方では、ボランティアや無償で実施していて、ビジネス的に確立されていたものではありませんでした。
しかしながら、日本全国に障がい者手帳を持つ聴覚障がい者は36万人。加えて、高齢や突発性難聴など後発性の障がいで、「聞こえ」に問題を抱えている人は600万人以上いると推定されるそうです。
この人数は高齢化社会が進むにつれて増加傾向にあり、「e-ミミ」の社会的ニーズは間違いなくある。これまでの経験からもそう感じていた一瀬社長は、沖縄を拠点にインターネットを通じて日本中の「聞こえ」の問題に取り組むことにしたそうです。
県内のある高校生の話。彼女は聴覚障がいを持っていますが、先生の口の動きから言葉を読んで熱心に勉学に励んでいる生徒でした。しかしながら、学年が進むに連れてそれだけでは追いつかなくなり、聞き漏れなどから十分に授業を理解することが難しくなっていました。
この件で相談を受けた一瀬社長は、これは是非「e-ミミ」を使って問題を解消しようと実証実験も兼ねて2科目の授業の文字通訳を始めました。先生の音声を携帯電話でうるま市に届け、そこで文字化されたものを生徒がi-Padで見ながら授業を受けるというものです。
全ての音声を文字化するため、初めて先生の話していることを全て目で見ることが出来た生徒は「こんなに沢山喋っていたとは思わなかった。文字通訳のおかげで授業の内容理解により集中できます。」と話しているそう。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「人が集まる講演会・セミナー、観光地などで当たり前に「e-ミミ」が使える、そんな世の中になることを夢見ています。」
(株式会社アイセック・ジャパン 一瀬宗也 様)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
自分が朝起きてから耳にするものを思い返してみました。テレビ、お湯が沸く音、車、電話、ラジオ、そして人の声。これらが聞こえないとなるとどんな不都合が起きるか想像も出来ませんでした。
普段得ている情報の中で「音」がこんなに重要なのだと思い直すと共に、その障がいのために情報格差を余儀なくされている人が世の中にこんなに沢山いらっしゃる事を知りました。
一瀬社長の目指すCSRの姿は本業そのものが地域社会の社会課題の解決と繋がっている名づけて「社会貢献3.0」だそうです。更にその従事者が相応の報酬をもらって継続した事業にすることで雇用=失業対策にも繋げたいとのこと。
こんな素敵な夢を持った企業が増えていくと、働き方や生き方も変わっていくのだろうと感じました。皆様の身近なセミナーや講演会などで、「e-ミミ」ぜひ一度利用してみてください。議事録にもなって便利だそうです。
【関連情報】
株式会社アイセック・ジャパン
TEL:098-972-6888
WEB:http://www.iscecj.co.jp/
(ガネコ)