公益財団法人 みらいファンド沖縄

【報告】おきなわCSRフォーラム2010

 『戦略的なCSRが紡ぐ、地域企業×NPOの協働』

CSRフォーラム会場風景
 
去る12月4日(土)、『おきなわCSRフォーラム2010』を実施しました。
その模様をご報告します。
 
■日時:2010年12月4日(土)13:00~17:00
■場所:ホテルロイヤルオリオン 旭の間
■参加者数:56名
■共同主催:那覇市(地域づくり・公益活動支援事業)
      一般財団法人みらいファンド沖縄
 

■概要
冒頭では、みらいファンド沖縄代表理事の小阪 亘 より開会の挨拶を行い、このフォーラムの意義・内容について確認しました。
 
基調講演『地域企業によるCSR活動の重要性とNPOとの連携について』では、損保ジャパン理事、CSR統括部長の関 正雄 氏に、社会的責任の国際規格であるISO26000の解説と、損保ジャパンのCSR活動について紹介していただきました。
 
続いて、講演『地域の現場から始まるCSR ~CSR活動に協力する際のNPOの責任~』では、(特活)ソーシャル・デザイン・ファンド(SDF)の代表、金森 康 氏より、国内の企業・NPOの協働事例を軸に、戦略的かつ相互にメリットのあるCSR活動へのヒントを提供いただきました。
 
休憩後は、2つの県内事例を提供いただきました。
沖縄コカ・コーラ、広報環境課課長の嘉手苅 修 氏からは『NPOと恊働した、自動販売機によるヤンバルクイナ生態調査』と題し、NPO、どうぶつたちの病院が行うヤンバルクイナの生息調査に自販機を用いて協力することで、水源としてのヤンバルの保全を考える活動を紹介いただきました。
 
なかむら食品の代表取締役、仲村 正雄 氏からは、『フードバンク沖縄と連携した食のリサイクル』と題し、冷めてしまい店頭から回収したもののまだ美味しい沖縄豆腐を、食のリサイクルを行うNPO、フードバンク2h沖縄と協力して、生活困窮者へ届けている活動を紹介いただきました。
 
最後に、登壇頂いた四方に、みらいファンド沖縄の副代表理事、平良 斗星 が加わり、『NPOと企業から生まれるもの』と題してパネルディスカッションを行いました。小規模な企業・NPOが多い沖縄において、互いに連携しながら地域の課題解決を進めていくためのきっかけや要素についての議論が交わされ、今後我々が協働をしていく上での示唆に富む意見が多く出されました。
 
■詳細
【 1 】 基調講演『地域企業によるCSR活動の重要性とNPOとの連携について』
関 正雄 氏(株式会社損害保険ジャパン 理事 CSR統括部長)

関正雄氏
 
関 正雄 氏からは、まず今年11月に発行した社会的責任の国際規格 ISO26000の必要性や、背景について解説いただきました。認証規格ではないISO26000は、むしろ社会的責任におけるアイディアやヒントの宝庫で、企業にとっては自己評価のためのツールでもあり、いわば社会的責任の参考書。また、全てのセクターに向けた規格であることも大きな特徴で、企業とNPOが共通の課題認識を持つうえでも大きな価値があるといえます。
 後半では、損保ジャパンのCSRについて紹介いただきました。企業の環境行動としてスタートした活動が、次第に総合的なCSR活動として拡がり、現在は、本業である保険でどのようなアプローチできるかという視点から、SRを意識した保険商品も取扱っているとのこと。またNPOとの恊働で大きな成果を収めている事例についても紹介がありました。
 
【 2 】 講演
『地域の現場から始まるCSR ~CSR活動に協力する際のNPOの責任~』
金森 康 氏((特活)ソーシャル・デザイン・ファンド(SDF) 代表)

金森氏
 
 金森 康 氏からは、国内企業が取り組むCSRの事例紹介を中心に、戦略的かつwin-winを意識した本業直結のCSRや、継続的な協働のためのヒントなどをお話いただきました。
 社会貢献型の商品『ゆめきらきらマグネット』の事例や、主力製品の素材調達先の環境に配慮を欠いたことで危機にさらされた地域企業の事例紹介といった、協働の実践に関する事例が多く紹介され、またそこでパートナーとなりうるNPOや、SDF・みらいファンド沖縄のような繋ぎ手の重要性についても強調し、注目を呼びかけました。
 
【 3 】 県内事例発表
( 1 ) 『NPOと恊働した、自動販売機によるヤンバルクイナ生態調査』
嘉手苅 修 氏(沖縄コカ・コーラボトリング株式会社 広報環境室広報環境課課長)

嘉手苅氏
 
 沖縄コカ・コーラは、一部製品の採水地、ヤンバルの自然環境と向きあおうと考えていた折り、NPO法人どうぶつたちの病院と出会い、北部に設置している自動販売機で、ヤンバルクイナの生息調査を支援するという事例が生まれました。販売機にヤンバルクイナの鳴き声の録音装置を設置し、巡回するサービスマンが録音データを回収。そして、沖縄高専に解析を依頼するという緻密なタッグが、この取組みを支えているそうです。
 
( 2 ) 『フードバンク沖縄と連携した食のリサイクル』
仲村 正雄 氏(株式会社なかむら食品 社長)

仲村氏
 
 伝統の沖縄豆腐にこだわるなかむら食品では、沖縄豆腐ならではの「冷めてしまうと商品価値がなくなる」という問題に頭を悩ませていました。そんな時、仲村氏が目にした新聞記事がきっかけで、フードバンクセカンドハーベスト沖縄のコーディネートのもと、回収したまだ美味しい豆腐を、県内の生活困窮者支援NPOに提供するという事例が生まれたといいます。この協力は既に1年以上続いており、今後も恒常的に続けていくそうです。
 
【 4 】 パネルディスカッション 『NPOと企業から生まれるもの』
 
関 正雄 氏
金森 康 氏
嘉手苅 修 氏
仲村 正雄 氏
平良 斗星(みらいファンド沖縄 副代表理事)
モデレーター:諸見里 杉子 氏
パネルディスカッション
 
ここでは次のような意見が交わされました。
 
・ 沖縄の企業の社会貢献は郷土愛型であり、そこに戦略性がもたらされることで強みとなる。
・ 企業とNPOの協働が進むためにはマッチングが極めて重要であるが、関係を持続させ、お互いの強みを発揮しあっていくためには、ミッションや行動様式が異なるお互いを尊重しあうことが重要である。
・ 具体的にNPOが気をつけることとして、提携後の発信をおろそかにしないこと。そこで企業にメリットを返していける。
・ また企業は形だけで協働関係に走ってしまうと、真の成果が出なかったときに低い評価を下されるリスクがある。
・ 企業×NPOのみならず、一つの課題解決のために複数のNPO、複数の企業で取り組むという方法も多いにある。小規模な組織が多い沖縄では特に有効である。
・ これらを踏まえ、みらいファンド沖縄は、協働のマッチングにおいて、コミュニケーションの補助と、お金の流れを透明化する、潤滑油のような存在を目指したい。
 
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 グローバルな話題からはじまり、沖縄ローカルの事例紹介へと視点を移し、沖縄における企業とNPOの協働の可能性を探ったこのフォーラムでは、登壇者のみなさまに非常に多くの情報と視点を提供いただきました。今ある地域課題を解決するために、沖縄県内においても企業とNPOの協働がひとつの手段であり、そこには大きな可能性があることを実感したフォーラムでした。
 長時間だったにも関わらず、参加者のみなさんは最後まで熱心な姿勢で聞いておられ、挙げられた事例や参考書籍名などメモをとる姿も多くみられました。
 来場者、関係者の皆様、ありがとうございました。
 
 みらいファンド沖縄では、今後も、企業とNPOの協働の促進をめざし、様々な取り組みを行ってまいります。なにとぞご注目くださいますよう、お願い申し上げます。
 
【関連情報】
このフォーラムの事例紹介者のお話は、ラジオ番組CSRヒトワクでも紹介しました。いずれもインターネット上のポッドキャスティングでいつでも聞く事ができます。
CSRヒトワク
・ 第1回『なかむら食品 × フードバンク2h沖縄』2010年7月8日放送
https://miraifund.org/?p=309
・ 第4回『沖縄コカ・コーラ × どうぶつたちの病院』2010年8月26日放送
https://miraifund.org/?p=618