公益財団法人 みらいファンド沖縄

【報告】「沖縄まちと子ども基金」設立記念フォーラム開催しました

2012年12月8日(土)、那覇市職員厚生会館3階 多目的ホールにて、「沖縄まちと子ども基金」設立記念フォーラムを開催いたしました。当日は企業やNPO等、27名の方々にご来場いただきました。

【当日のプログラム】のダウンロードはこちら >>>【当日のプログラム】

 当日は、諸見里杉子さんの司会で進められ、フォーラムの冒頭で、沖縄大学学長 加藤彰彦様よりいただいたお祝いのお言葉を読み上げていただきました。
※「お祝いのお言葉」は、当日プログラムより読むことができます。


(▲フォーラムの総合司会 諸見里杉子さん)

 はじめに基金の紹介を、当財団代表理事の小阪亘が行いました。前半は、NPO法人シーズの関口宏聡さんによる基調講演、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表の秋吉晴子さんによる事例報告をしていただきました。
 後半では、子ども関連NPOや県内企業の社会貢献担当を加え、6名でのグループトークを行い、子どもの貧困の解決に向けてのどう取り組んでいくかの議論をしました。行政や議員への働きかけといった具体的な動きに関することも話題にのぼり、その周知や制度改正をも含む多様な取組みを促すため、NPOからの政策提言が重要であることを、あらためて認識する場となりました。



ごあいさつ ~「沖縄まちと子ども基金」紹介
公益財団法人みらいファンド沖縄 代表理事 小阪 亘

 この基金の設置の経緯・性質・目的などをご説明いたしました。
 まず、設置の経緯として、昨年より、県域市民活動支援基金設置検討委員会での議論や、スタッフが実施したヒアリングを通して、「沖縄の子どもの貧困・孤立」が深刻な状況であることが分かってきたことを説明。そして、当事者と向き合い支える活動と同時に、社会や制度を変えていく活動も必要であり、そのために、この基金では、事業だけでなく調査を重視した助成を行っていきたい、との方針について説明いたしました。

■沖縄まちと子ども基金について 
  >>> https://miraifund.org/?post_type=kikin&p=6235


(▲公益財団法人みらいファンド沖縄 代表理事 小阪亘のあいさつ)

【基調講演】「社会を変えるためにNPOはどう声をあげるべきか」
NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 常務理事 関口宏聡 氏


 NPOの役割で、抜け落ちがちな“アドボカシー(政策提言)”。NPO法人シーズはどのように制度改革を実現してきたのか、どのようにNPOへ意識改革を促しているのかをお話ししていただきました。


(▲NPO法人シーズ 常務理事 関口氏による基調講演の様子)

 そもそもNPOの存在意義とは何なのか? それは社会を変えて(創って)いくことである、と関口さん。その手段として “必要な公共サービスの提供” があり、多くのNPOが既にそれを担っています。もうひとつの手段として “必要な仕組みや制度の創設” があり、NPOはそのために声をあげていく役割も担っていますが、まだまだその力が弱いといわれています。

 当事者やNPOだけでは資金・人材・施設・情報等、解決に必要な資源が不足しています。そして多くの問題は、当事者やNPOが声を上げないと可視化されず、社会から見えません。つまり、問題が見えないと必要な支援も集まらず、解決もできない、と関口さんは話されました。

 シーズは、「NPO法と税制の抜本改正の実現へ、一緒に頑張っていきましょう!」と声をあげ、国や自治体、企業、NPO、マスコミ等、様々な団体・個人を巻き込みながら、その実現に取り組んできました。「あきらめずに声を上げ続ければ、法律も税制も予算も変えられる」と関口さん。最後に、「子どもの未来のために、沖縄に必要な政策・事業をNPOが提案し、実現していかなければならない」と締めくくられました。

【事例報告】「『沖縄の子どもの貧困と進路 -高校生1000人調査より-』を通じて考えたこと」
しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代表 秋吉晴子 氏


 秋吉さんより、高校生の生活と人権に関するアンケート調査の結果と、ご自身の活動について、紹介いただきました。この調査は、2011年6月から9月にかけて、県内の高校生1200人に対して実施したもので、金城芳子基金の助成を受け行った調査です。きっかけは、子どもの貧困の実態を把握し、それが子どもに及ぼす影響を調査することで、その課題について県民全体が考え、解決していくために県へ政策提言をしたいという思いで始められたそうです。


(▲しんぐるまざあず・ふぉーらむ 代表 秋吉氏による事例報告)

 しかし、実際のところ、調査を終え報告書を作成し、今年9月末に報告会をすることで精いっぱいだったと秋吉さんは語ります。
 会のメンバーは、4人のシングルマザーで、月に1回集まることもままならない状況。会の運営費は、報告書の売り上げやフリーマーケット収益。シンポジウムやセミナーを開催するにしても、行政からの支援はなく、その都度助成金を申請しての開催となり運営は厳しい状態とのこと。
 「しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄としては、今後も様々な課題に対する解決案を提言することは可能だが、なにからなにまで引き受けるのは困難。当事者団体として支援も求めているのは事実。会場の皆さんや県民の皆さんの力が今後も必要です」との訴えがありました。

【グループトーク】「沖縄の子どもたちを支える協働のまちをめざして」


※出演者
  ・NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 関口 宏聡 氏
  ・しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 秋吉 晴子 氏
  ・株式会社沖縄ファミリーマート 比嘉 智 氏
  ・NPO法人こども医療支援わらびの会 儀間小夜子 氏 
  ・気候アクションセンター 長田 英己 氏 (ファシリテーター) 
  ・公益財団法人みらいファンド沖縄 小阪 亘


※出演者のプロフィールは当日のプログラムにあります。

 後半のグループトークから加わった儀間さん、比嘉さんの紹介のあと、会場から寄せられた質問をご紹介し、セッションの中でも触れていただきました。


(▲「ファミリーハウスがじゅまるの家」の運営もされている儀間氏)


(▲「来場者の目を見ながらお話しさせてください」と振り返り挨拶をされた比嘉氏)

 「行政はNPOの声を聞く体制にあるのかどうか?」「議員をどう巻き込んでいくか?」などの質問に対して、「程度の差はあったとしても、地方自治体は市民と近い分 “聞く” 体制にあるだろう。聞く体制が整っていないとすれば、“聞かせる体制・環境づくり” へ変えていくのもNPOの仕事」と関口さんが回答されました。

 また、県立子ども病院の設立へ向け、行政へ積極的かつ継続的な運動をされた儀間さんからも、「県議会へ何度も足を運んだ。勉強会や署名活動、医師や病院関係者、行政、マスコミ報道関係者の巻き込み等、あらゆる活動を行った。県立那覇病院の建て替え時期と重なるというタイミングも後押しし、一連の努力の甲斐あって、目的が達成された」という苦悩の10年間のお話しがありました。

  

 事例報告をされた秋吉さんからも、寡婦控除の適用拡大を訴えるため、儀間さんと同様の活動しているとの発言がありました。結果現在では、県内6市で寡婦控除をみなし適用してもらえるようになり、いずれは、所得税法の改正のための運動も視野に入れているとも話されました。

 沖縄ファミリーマートの比嘉さんからは、ファミリーマートのキーワードである “家族” を軸に、「子どもは地域も大人もつなぐ存在である」という思いの元、沖縄らしい社会貢献とは何かを常に考えているとの言葉がありました。
 コンビニにたむろする若者たちのことにも触れていました。コンビニは、家に帰れない、いられない問題を抱える子どもたちの “居場所” になっている。コンビニが地域にできることを考え、彼らを邪魔者扱いをするのではなく、手を差し伸べる、あるいは話を聞き、問題の解決策を見出すことにも取り組んでいると仰っていました。

 これらの発言を受け当財団代表の小阪は、「多様な視点があれば、それだけ幅が広がる。いろんな立場の人たちが関わり、問題解決のために取り組むことが大事。基金名の “まちと子ども” に込めたのは、多様な人たちがつながるための合い言葉になれば、という思い。この基金がひとつのきっかけになればと考えている」と述べました。


 社会をより良く変えようと、実際に取り組んできた方々の話によって過去を共有し、出演者や会場内で、NPOが今後果たしていく役割はますます重要になっていくことを、あらためて確認できたグループトークになりました。

 最後に、フォーラム参加者のみなさまからいただいた、アンケートの回答を一部ご紹介させていただきます。たくさんのご意見・ご感想ありがとうございました。

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参加者の方の感想
・基金からサポートを受けた子どもたちが、支援に感謝し、次の世代をサポートする人になってほしい。良い循環を期待します。(NPO所属)
・本気で取り組んでいる人、取り組みたいけど方法が分からない方への支援も期待します。(NPO所属)
・当事者の話や現状を知ることができてよかった。また、企業(沖縄ファミリーマート)の考え方、これまでやってきたことが聞けてよかった。(企業)
・消費活動に組み込まれた資金調達が必要だと感じた。循環型の資金集めの仕組みをやり遂げたいと強く思った。(企業)
・ハンズオン支援ができる体制もできるといい。お金だけじゃないサポーターが必要。多くの人が共感し巻き込めるようになってほしい。(企業・NPO所属)
・沖縄ファミリーマートさんの意見に感動した。(地域の団体職員)
・支援する側、される側の双方がつながることができる活動になってほしい。(その他)
など

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 フォーラム終了後の交流会では、出演者と参加希望者がそれぞれ自己紹介をしあい、フォーラム会場では質問できなかったことを質問したり、感想や意見を語り合ったり、とても盛り上がりました。新たな出会いがもたらす、これからの連携や協働も期待できそうです。


(▲それぞれ会話がはずんでいる交流会)

 本フォーラムを通して、出演者の方々から、これまでの「子どもを取り巻く課題」の解決に向けた取り組みをご紹介いただき、貴重なご意見もお聞かせいただきました。
 また、ご来場いただきましたみなさまからも、アンケートを通して、本基金に対する関心や期待を確かに感じました。
 本フォーラム及び交流会にご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。本基金が、沖縄の子どもたちの未来へとつながる一助となるよう、みらいファンド沖縄も取り組んでまいります。
 今後とも、みなさまのご協力ご支援をよろしくお願いいたします。



【関連情報】
*「沖縄まちと子ども基金」は、子どもたちを地域(まち)が支えていける環境づくりをめざし、課題の解決をめざす事業・調査を行うNPOに対し助成するため、設置された基金です。
■「沖縄まちと子ども基金」について 
  >>>https://miraifund.org/?post_type=kikin&p=6235

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「沖縄まちと子ども基金」設立記念フォーラム
沖縄の子どもの貧困・孤立の解決のためにわたしたちができること
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チラシのダウンロードは >>>[こちら]

   
日時   2012年12月8日(土) 15:00~18:00
場所   那覇市職員厚生会館 多目的ホール
那覇市上下水道局庁舎B棟3階(那覇市おもろまち1-1-2)
プログラム  
【基調講演】 社会を変えるためにNPOはどう声をあげるべきか
   関口 宏聡 氏

   (NPO法人シーズ市民活動を支える制度をつくる会 常務理事)
【事例報告】 『沖縄の子どもの貧困と進路 ―高校生1000人調査より―』を通じて考えたこと
   秋吉 晴子 氏

   (しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代表)
【グループトーク】 沖縄の子どもたちを支える協働のまちをめざして
   関口 宏聡 氏(NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 常務理事)
   秋吉 晴子 氏(しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代表)
   儀間 小夜子 氏(NPO法人こども医療支援わらびの会 事務局長)
   比嘉 智 氏((株)沖縄ファミリーマート ブランディング推進室 室長)
   長田 英己 氏(気候アクションセンターおきなわ、沖縄県域市民活動支援基金設置検討委員会委員長)
   小阪 亘 (公益財団法人みらいファンド沖縄 代表理事)

主催   新しい公共の人材育成と資金循環の持続可能なしくみ構築事業共同体
*平成24年度沖縄県「新しい公共支援事業」
後援   (社福)沖縄県社会福祉協議会、沖縄子ども研究会、沖縄タイムス、琉球新報、タイフーンfm (順不同)