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お知らせ

【報告】うるま市海洋性空間活用円卓会議を開催しました

2013.10.21



 10月9日にうるま市で円卓会議の開催支援をしました。冒頭で、うるま市長からのビデオメッセージを上映。急遽、ご公務が入りお越しいだただけなかった市長ですが、「照間海岸から海中道路までの3km余りに及ぶ遠浅の海は、他の地域にはない大いなる魅力を秘めていると思います。このすばらしい景観や海岸線を含めた周辺地域を活用した観光エリアの形成はできないでしょうか?」と、会場に論点をしっかり投げかけていただきました。うるま市の新しい観光戦略を策定することをめざし、その前段階の議論の場として開催されたこの円卓会議を、みらいファンド沖縄は企画運営、司会・記録者派遣で協力させていただきました。
     
 ★この円卓会議のようすを紹介いただきました。
   [ 琉球新報2013.10.14 pdf ]
   [ 沖縄タイムス2013.10.23 pdf ]
    


     
 今回の円卓会議は、事前に実施された調査の報告も兼ねており、その調査の中で(筆者にとっては)意外な結果がありました。沖縄の海と言えば「マリンスポーツ」と思っていましたが、調査結果によれば「海を見ながらのんびり食事」「白い砂浜をゆっくり散策」といったニーズが比較的高かったそうです。また、最近では環境に対する意識の高まりから、現在の自然環境をいかに活かした空間形成がされているか、も重視されていました。
    
 前半でこのような調査報告をじっくり聞き、その後中盤では各着席者からの現在の取組の紹介や、意識すべきことについてお話いただきました。
 今回は神奈川からスペシャルゲスト ドジ井坂さんをお招きしていました。ドジさんは日本人初のプロサーファーとして活躍され、現在はサーフィンや浜辺遊び等の指導を通じ「海岸学」を提唱されています。ドジさんは、海での活動はコアなファンだけが楽しめるものになっているが、もっと多様な楽しみ方があり、海での体験を通じた身体能力の向上は、子どもからお年寄りまで健康に役立つので、より多くの方が楽しめる入口づくりの重要性を力説していました。
 うるま市で活動されている方たちからも、たくさんの意見がでました。ドジさんがおっしゃるような海での体験を長年提供してきている団体からは、年間2000人もの参加者があること。あるいは食という点では、県内生産の6割を占める「もずく」を使ったメニュー開発や、ご存知「ぬちまーす」では工場見学に年間5万人もの来訪があることが報告されました。
 一方、海の駅あやはし館の来訪者は年間20万人いるが、それが島嶼地域を含め周辺に波及効果があまりないのではという指摘や、うるま市は中南部の中では自然の美しさが多く残る地域で、どこを守りどこを開発するかのルール作りが重要だという意見もありました。
     
 会場全体でのワークでは、調査報告の最後にあった言葉と掛けて「○○な気分になれる場所・物・事」というテーマで考えていただきました。が、うるま市民が8割を占めた会場参加者からは「むずかしい…」との意見も聞こえました。前半の調査報告にもありましたが、自分たちの地域の魅力は、意外に自分たちでは見えないものなのかもしれません。
 それでも、ワーク後の後半戦では、会場からも意見が飛び出しました。照間海岸では、昔は「照間ビーグ」(いぐさ)を干す、美しい光景が見られたこと、また、実はとても大きな珊瑚のテーブルが残っていて、知る人ぞ知るダイビングスポットになっていることなどの発言がありました。
   

   

   
 着席者の方たちからも、資源である自然を残すためのルールづくりの重要性、そのための入域者数制限も含めた目標値の設定、伝統産業の発展のための仕組みづくり、もずく採集など体験型メニューによる産業振興、などなど、たくさんの重要な視点が提示されました。
   
 うるま市では、前半で紹介された調査事業と、今回の円卓会議での意見を参考にしながら、観光戦略を今後立てていこうと考えておられます。確かに、多くの意見が挙りましたが、じっくり時間をかけて守るべきものを守り、育てるところを育てる。その先に、うるま市の魅力が立ち現れる。そうした付け焼き刃の開発や誘致ではない「戦略」が求められているんだ、ということを確認できた円卓会議だったような気がしてきました。
    
 最後にもう一点、気になった発言を紹介させてください。ドジさんが、「知る人ぞ知る場所」あるいは「ウチは他とは違うサービスがある」といった差別化は、かえって顧客を阻害していて、むしろ「コレをするための標準的な設備がキチンと整っています」というようにすれば、愛好家は巡回してくる、といったようなことをおっしゃっていました。
 地域の独自性はもちろん重要だが、整った品質で安心と共感を提供する方法もある、ということは、ある種の選択肢としては自分の中で軽視していたことに気付かされました。
   
 着席者や参加してくださったみなさん、ご準備にあたられたうるま市のみなさん、JTB沖縄のみなさん、ありがとうございました!!


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うるま市海洋性空間活用円卓会議
開催のご案内
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ーー● 会議のテーマ ●ーー
「金武湾~海中道路周辺の地域や海浜を、
  観光に活かすには?」

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論点提供 島袋 俊夫(うるま市長)
  
 うるま市の与勝地域には、海中道路や勝連城跡などの
 観光スポットがあり、毎年多くの方が観光に訪れて
 おりますが、海浜やその周辺を活用した魅力ある
 空間づくりはまだできていません。 他の地域にはない、
 照間海岸から海中道路までの遠浅 の海や周辺地域を
 活用した観光エリア形成はできないも のでしょうか?
 うるま市の新しい魅力づくりのために、様々な分野から
 議論していただき、良いアイデアを出し合いましょう。
     
情報提供 河野 まゆ子 氏(株式会社JTB総合研究所 主任研究員)
  うるま市海洋性リゾート空間形成に向けた調査の結果について

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●開催日時 2013年10月9日(水)18:00〜21:00
       
●会場  うるま市立与那城公民館 ホール
    
●主催  うるま市(企画部企画課)
●事業受託  株式会社JTB沖縄
●運営協力 NPO法人まちなか研究所わくわく
      公益財団法人みらいファンド沖縄

●着席出席者(順不同)
・ ドジ 井坂 氏(ドジイサカビーチスクール 主宰)
・ 平敷 徹男 氏(琉球大学 名誉教授)
・ 鈴木 建太朗 氏(一般社団法人うるま市観光物産協会 事務局長)
・ 新垣 博美 氏(株式会社ぬちまーす 取締役営業部長)
・ 真鶴 幸一 氏(うるま市B&G勝連海洋クラブ 会長)
・ 藤井 晴彦 氏(沖縄自然環境ファンクラブ 代表)
・ 新垣 邦雄 氏(琉球新報 中部支社長)
・ 河野 まゆ子 氏(株式会社JTB総合研究所 主任研究員)
・ 宮城 為治(うるま市役所 企画部企画課長)

ファシリテーション:宮道 喜一(NPO法人まちなか研究所わくわく 副代表理事)
司会進行:平良 斗星(公益財団法人みらいファンド沖縄 副代表理事)

<地域円卓会議>
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